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あなたの大切な人が、摂食障害になったら Vol.1:MFさん

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摂食障害に悩むこどもを支える親御さんやご家族の視点から、葛藤や日々の試行錯誤から得た学びや気づきを紹介する連載シリーズ第一弾。

今回ご紹介する佐賀県在住のMFさんは、高校1年生の娘さんが神経性やせ症(拒食症)と診断され、現在回復に向けて歩んでいます。今回は、母としての葛藤や支援の模索、日々の気づきについてお話を伺いました。



娘さんが摂食障害を発症した経緯、またご自身が気づいたきかっけなどを教えてください


娘が摂食障害と診断されたのは高校1年生の冬でしたが、振り返ると小学校高学年から食事や体形へのこだわりが始まっていたようです。中学では進学校に進み、自転車通学や勉強時間の増加で少し痩せてきたなと感じていましたが、特に深刻には捉えていませんでした。生理不順もありましたが、成長期の一時的なものだと思っていました。

本格的に異変に気づいたのは中学3年の年末。酸素飽和度を測る機器で測定したところ、脈拍が40台と異常に低く、慌てて病院を受診。すぐに精神科を紹介され、1月中旬に摂食障害と診断を受け、入院することになりました。


診断された時は、どのように感じましたか?


「まさか、うちの娘が!」と思いました。私は看護師として精神科勤務の経験もあり、メンタルコーチの学びもしてきました。摂食障害も専門分野の一つとして学んでいたはずなのに、自分の娘がその病気になるとは1ミリも思ってもみませんでした。気づけなかったことへの罪悪感、情けなさ、そして「母親なのに」「専門職なのに」という自責の念に苦しみました。



親としてどのように摂食障害と向き合おうとしましたか?ご自身の葛藤や悩みを打ち明けたり、サポートを受けたりすることはできましたか?


摂食障害に関する本を読み直したり、医師に親向けの支援を相談したりしましたが、納得のいく情報は得られませんでした。親の会なども見つけられず、当事者をサポートする親への支援や情報の不足に直面しました。家族内では、夫や(同居中の)義母は娘の問題に積極的に関わっておらず、現在は母娘で向き合っている状況です。義母は高齢のため自分の1日を過ごすことで精一杯で、夫は夫なりの目線や方法で対応しようとしています。しかし、娘のことも含め同じ視線で向き合うための「本音で話せる」場所がないと感じています。

娘さんへの対応で困ったことや、対応法などはありますか?


娘は約3か月入院しましたが、行動制限中心の治療に「心へのアプローチが足りない」と感じました。中学の卒業式に出られなかった分、高校の入学式には出席させたいと医師に掛け合い、退院を実現。その後は車で送迎しながら通学したり、一定の行動の制限がありつつも、自宅療養を続けています。


娘と接する中で、「親としての自分の感情を否定しない」ことを意識しています。食へのこだわりに戸惑ったり、娘の要求に応えられないこともありますが、その感情を受け止め、自分の捉え方を工夫するようにしています。また、娘が家にいると食べ物のことばかり考えてしまうので、外出の機会を増やすようにしています。「食べなさい」ではなく、「楽しくおいしく食べられた」がゴール。食べられた時は、その頑張りを認めるようにしています。


摂食障害のことを知らない人に、摂食障害がどのような病気かを伝えるとしたら?


私にとって摂食障害は「少し歪んだ反抗期」のようなもの。娘の場合、それがたまたま摂食障害として食に現れただけ。また、親の価値観や課題が娘に引き継がれているようにも感じます。娘自身が乗り越えるべきこともありますが、同時に、私自身が自分の課題を克服したり、自分の生き方や人生について正直に向き合うことで、娘との関係性が更新されて、娘の中にも変化が訪れるだろうと思っています。


では、回復するとはどういうことだと思いますか?


回復とは、食べ物のことにかかわらず「自由になること」だと思います。親も子もお互いに「自分には自由に選択できる選択肢がある」と実感できている状態が、回復の兆しなのかなと思います。

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親むけに、どんなサポートがあったらよいなと思いますか?


本音で話せる場所かなと思います。私自身専門職であるがゆえの負い目や責めを感じ、また、周りの人からもそのような目でみられているのではと恐れていました。子どもへの対応だけでなく、「親として、人としてどう変容しているか」に焦点を当てた対話の場があれば、もっと支えられると感じています。


ReStoreでは、摂食障害に悩むこどもをもつ親やご家族の体験談を発信し、親のサポートにつなげていきます。お子様・ご家族の摂食障害の闘病・回復経験を親の視点からご共有いただけるかたは、ぜひReStoreまでご連絡ください。

体験談/連絡先: info@startline.life


インタビュー実施日:2025年9月

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