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「摂食障害は、新しい自分になるチャンス。壁を扉に、心のままに生きる未来へ」ー摂食障害カウンセラー 渡邉茜さん

Updated: May 9




摂食障害の回復に携わる支援者の活動や「思い」に迫るインタビューシリーズ「回復の扉を、ひらく」第四弾!今回は、摂食障害カウンセラーのあかねさんにお話をお伺いしました。


👇インタビューの様子は、こちらの動画から👇




あかねさんも、過去に摂食障害を経験されていますが、まずは、ご自身の回復の道のりを教えてください。

私が摂食障害を発症したのは高校の時でした。元々優等生タイプだった私は、高校入学後に優等生で居続けることや吹奏楽部の活動に疲れ、その裏でダイエットに目覚めて拒食症を発症。体重が激減し、部活はストップ。その後、3回入退院を繰り返しました。


拒食の時期が約1年半続いた後、3回目の退院後に非嘔吐過食が始まりました。私の場合は、基本的には「体に良いもの」しか安心して食べられず、玄米菜食のような食生活をしつつ、その反動でお菓子やパンを過食する悪循環な生活が続きました。


健康的な体重に達しても症状は治まらず、過食嘔吐が始まりました。高校は3回留年した後中退。18歳でパン屋で働き始めましたが、拒食と過食嘔吐の日々は続きました。その後、2年遅れで大学受験を目指し、予備校三昧の日々が始まりました。偏差値も伸び、高卒認定試験を受けて、志望校に合格。大学では心理学を専攻し、友達や彼氏をつくり、旅行をしたり、外食や飲み会も増え、充実した大学生活を謳歌していました。一方、基本的には拒食的な食事と、時々過食嘔吐という生活は続きました。


卒業後、一人暮らしをしながら広告会社でのコピーライター・デザイナーとしての激務の日々が始まりました。お昼ご飯をオフィスで食べることができず、基本的に仕事中にお菓子を大量に食べ、週末だけ過食嘔吐の生活をしていました。その後、世界中の国々を訪問した後に、宮崎に移住して結婚することを決めました。気づけば、食事もそれなりに食べられるようになり、過食嘔吐も半年間止まっていました。


現在は、3児の母親となり、食事制限や運動強迫もなく、自由に食生活を楽しみ、摂食障害カウンセラーの傍ら、農業や子育てに勤しんでいます。

▼茜さんの経験についてはこちらからどうぞ

摂食障害の詳細な記録:https://ed-careroom.com/00-2/

克服後の自分について:https://note.com/ed_counseling/n/n533df4c1b5cd



現在は心理カウンセラーとして活躍されていますが、摂食障害の治療でなぜ心理療法やカウンセリングが必要なのでしょうか?また、ご自身は回復の過程で心理カウンセリングは受けられましたか?

まず、私自身についてですが、3回の入院期間中に心理士さんと話す機会がありました。 また、2週間に1度、心療内科に8年間通いました。ただ、内容的には心療内科医と5分お話しする程度で、自分がやりたいというよりも、親の期待に応えるために通い続けていました。その頃は、私も摂食障害を治したいとか、痩せを手放してもいいやとは思えていませんでした。


では、なぜ痩せたいという気持ちが手放せなかったのか。心理士の勉強をしながら振り返ったときに、「傷ついた経験があるからだ」ということに気づきました。多くのクライアントさんとお話ししていても、みなさん「 傷ついた自分を守るために、痩せ体験にしがみつく」という構造があるんですよね。だからこそ、そこを癒していくために、カウンセラーのような第三者と一緒に、自分の気持ちを言語化し、心の傷を乗り越えていくことが必要だと考えています。


あかねさんのカウンセラーとしてのビジョンや、提供されているサービスについて教えてください。

カウンセリングのビジョンというよりも、私自身が生きていく上で「自分の本音に従って生きれる人が増えてほしい」と思っています。自分も含めてなのですが、摂食障害になる子っていい子なんですよね(笑)。世間の正しいこととか、期待を優先して、自分の本音があるにもかかわらず、周りのことを優先して生きている。だから、自分の本音に気づけなくなっていって、摂食障害や痩せるという手段を使って、「自分の心のSOSを表現」している状態なのだと思います。だから、摂食障害を使わずに、自分の本音のままに生きれる人を増やしたいと思っています。


サービスとしては、主に学習・食事指導・カウンセリングの3つを提供しています。まずは、学習コンテンツとして、YoutubeやSNSを使って、正しい知識を伝える動画コンテンツを配信し、また、更に学び深めたいという方向けに、本を執筆しています。そして2つ目は、食事シート。こちらは有料ですが、食事内容を記入してもらい、3日以内にアドバイスを提供しています。やはり、みなさん明日の食事どうしようとか、目先の困りごとと日々戦っているので、なるべく早く返信できるようにしています。3つ目が、カウンセリングです。こちらも有料にはなりますが、本気で回復を目指す方とか、早期回復を目指す方にLINE通話とメッセージで提供しています。

 

沢山動画を配信されてますが、はじめての方にまずおススメの動画をいくつかご紹介くださいますか?

4つおススメ動画をご紹介します。

よく「克服する」って決めたら、例えば「過食を我慢する」とか、「三食バランスよく食べます」とかおっしゃる方がいるのですが、実はそれがあまりよくなかったりもするので、まずはこの動画を見て頂ければと思います。


2つ目の動画は、私のYoutubeチャンネルのトップにあげているもので、私の一番大事な考え方を紹介している動画です。特に、「拒食だけど痩せたいと思っている・治したくないと思っている、ためらいを感じている」という方にも届くように言葉を選んで摂食障害克服のイメージやマインドをお伝えしています。

 

3つ目は、正しい食事についての動画です。私は管理栄養士ではないのですが、クライアントとの経験に基づいて、バランスのいい食事をしているのに拒食・ 過食が治らない理由について紹介しています。果たして栄養バランスの良い食事が、直接摂食障害を回復させることができるか・・・私なりの考えをお伝えしている動画です。


最後の動画は、特に拒食からの回復期で悩まれている方向けの動画です。カウンセリングに来られる方の多くが、この回復期で悩んでいるので、回復期が苦しい理由と乗り越えるヒントについて解説しています。 


あかねさんが当事者またはご家族にカウンセリングを提供される上で大切にしていることは?

まず、ご家族には2つのパターンがあると感じています。まず一つ目は、知識がないために、お子様に間違った声掛けをしてしまうタイプ。もう一つは、ただ黙って見守り過ぎてしまうタイプ。私はまず、ご家族には、「家族は治療者ではなくて、理解者になってください」とお伝えしています。どうしても家族はこどもを治そうとして、「これ食べなさい」とか、「運動しすぎちゃダメ」とか言ってしまいがちですが、本人は指示されたいわけではなくて、「わかってほしい」んですよね。


だからこそ、親には「理解者」という役割に徹してほしいと思っています。

その上で、治療に関しては、お子様と外部の医者やカウンセラーなどを繋ぎ、任せてほしいと思っています。また、ためらわずに他愛ない会話をしていくことも大切です。腫れ物に触れるように黙ってるのではなく、自分から積極的に普通のコミュニケーションを心がけることもおすすめしています。


 一方、ご本人に対しては、「正解はない。」とお伝えしています。初めてカウンセリングを受ける方は、口数が少なかったり、何か聞いても「わかりません」とお答えされることが多いんですよね。みんな周りの何か正しいことに従って生きてきてしまったから、自分の本音や気持ちに耳を傾けるのが苦手で、本音があるのに聞こえずらくなってしまったのかなと。気持ちに正解も不正解もないのだから、  まずは「自分の今感じていることを何でもいいから話してもいいんだよ」ということは、一番最初にお伝えしています。





あかねさんは、摂食障害に回復はあると思いますか?また、回復はどのような状態だと思いますか?

私は、絶対回復する病気だと思っています。私自身もそうですし、私のクライアントさんも、このサービスを利用して1年後に連絡をとっても、回復状態を維持できているという回答を何人もの方からいただいています。ですから、私は回復する病気だって言い切っています。


完治した状態については医学的に正解はありませんが、私の一つの考えとして、「症状がゼロであること、食事がちゃんと体の感覚(空腹・満腹)の感覚でできていること、生活のマイルールに従って生活するのではなく自分の心で生活ができていること、あとは健康体重で生理があり、その体型を受け入れられていること」という5つくらいの指標をもっています。また、感情的にも比較的安定していて、もし感情が不安定になっても摂食障害に頼らず、きちんと平常心に戻れるということも回復のラインだと思います。


回復のスタートラインに立たれた方に、最後一言メッセージをお願いいたします。

回復したいって少しでも思えたら、それはもう回復が始まっていると思います。 今の状態から楽になりたいとは、恐らくみんな思っているものですが、「やっぱり痩せていたい、直したくない」といった抵抗する気持ちが強くて、回復したい気持ちが埋もれていくんですよね。だから、その回復したいという気持ちが上回った時点で、すでに第一の壁を乗り越えているなと思うんです。


私のカウンセリングには、「壁と扉に」というキャッチフレーズがあります。それは、摂食障害という壁は、新しい自分になるチャンス(扉)という意味合いを込めています。だから、摂食障害はダメな経験ではなくて、新しい自分になっていく、もっと厚みがある人生や人格になっていくチャンスだと捉えてください。この期間を悲観せずに、摂食障害に向き合っているこの過程に価値があります。今は苦しみでいっぱいだと思うけど、未来に希望を持てるような言葉を、私は届けたいなと思ってます。


 インタビュー実施日:2025年5月1日

 



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Image by Jadon Johnson

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