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「回復の出口はある!心が温まる交流の場を大切にしたい」ーふくおか摂食障害ともの会 代表・江上彩音さん

Updated: Aug 29


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摂食障害の回復に携わる医療関係者や支援者の方々の活動や「思い」に迫るインタビューシリーズ「回復の扉を、ひらく」第一弾!今回は、自助グループ「ふくおか摂食障害ともの会」の代表・江上彩音さんにお話を聞きました。ご自身も20年以上摂食障害からの回復に取り組まれた経験をもつ江上さん。回復のスタートラインや、現在の活動、回復に役立ったこと、また支援者としての思いについてお伺いしました。


ーご自身も摂食障害を経験されていますが、摂食障害を発症した経緯や、「回復したい」と思われたタイミングについて教えてください。

私が拒食症を発症したのは、中学3年生の時でした。その後、大学進学とともに一人暮らしを始めて数年後に過食嘔吐に移行しました。その後、38歳までは過食嘔吐を繰り返す毎日でした。


ずっと、この過食嘔吐をどうにかしたい・治したいという気持ちはありましたが、やっぱり手放せない状況でした。今振り返ると、過食嘔吐をしている罪悪感や後ろめたさから、摂食障害の自分を自分でも認め難く、病気と真正面から向き合うことができていなかったように思います。当時の自分にとって「(過食嘔吐が)必要だった」とも思います。


その後、カウンセリングを受ける中で、「摂食障害を患っている自分も自分なのだ」と認める気持ちが生まれました。また、過食嘔吐の生活を続けることが「体力的にも気持ち的にも限界!」というタイミングでもありました。この2つが重なった時が、過食嘔吐から抜け出そうという「心の準備」が整ったタイミングだったのかなと思います。

※江上さんの原体験の詳細については、こちらのメディア記事もご覧ください。


ーご自身の回復に役立ったものやエピソードをいくつか教えてください。

まずは、30歳から始めたカウンセリングが有効だったと思います。たまたま繋がった心療内科では診察とカウンセリングがセットだったのですが、診察の方は途中で中断しつつも、カウンセリングだけはずっと続けていました。


8年という長い期間だったので、「本当にこんなことを続けて効果があるんだろうか?」と思った時期もありましたが、やはり自分自身の内面と向き合うという作業を、コツコツやってきたことが、回復のそのベースを作る上では重要だったと思います。カウンセリングを通じて、自分自身とうまく付き合えるようになり、また、過去の自分を愛し受け入れる(セルフコンパッション)ことができるようになりました。


次に、食や体型の問題と向き合う上では、北九州の八幡厚生病院での、3か月の入院生活や食事療法が有効でした。入院中は、心理療法と食事療法の2本柱で治療プログラムが組まれていました。食事療法は、健康な体に戻すために出された食事を食べる治療でした。心の治療は、DBT(弁証法的行動療法:dialectical behavior therapy)とマインドフルネスがベースになっていました。5分程度のマインドフルネスを1日何回も行い、「今ここに集中する」練習をしたり、マインドフルネスな食べ方なども練習しました。


また、入院中は時間があったので「摂食障害から回復するための8つの秘訣」の本のワークに取組み、ノートに書き出しては反芻したりもしていました。このワークによって、自分自身の中にある「病気の部分の声」と「健康な部分の声」を聞き分け、「健康な部分の声」を強めることができるようになりました。


ーふくおか摂食障害ともの会の活動内容について教えてください。特にどのような方を対象とされていますか?

ふくおか摂食障害ともの会は、私がまだ渦中にあるときに立ち上げたもので、「自分にあう自助グループがほしい」という思いが発端でした。活動内容としては、オンライントークという、当事者がオンラインで集まって気持ちを分かち合う会を月1回程度運営しています。


私を含めある程度回復している人が運営しています。摂食障害の渦中にいて「しんどさを感じている人」や、回復って「どんな感じなんだろう?」と疑問を持たれている方、「そもそも治るのだろうか」と不安を感じている方にお薦めです。今後、ピアサポートの強みは活かしつつも、わかちあいだけでなく、一歩回復を後押しできるような部分を強化できればと思っています。


また、摂食障害の問題は「個人」にベクトルが向きがちですが、社会に対する問題提起や情報発信のための調査研究やシンポジウムなど、アドボカシー活動にも活動が広がってきています。今後は、活動がより持続可能になるような組織体制や運営も検討していきたいと思っています。


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ーご自身が支援に関わる上で大切にしていることを教えてください。

あまり「支援している」という意識は全然なくて(笑)。私自身が必要な場所をつくり、同じような方とつながり、かえって自分自身が助けられているという感覚の方が強いです。あまり「支援者ぶる」気もないというのが正直なところです。


このように、心が温まる交流の場を大切にしていきたいと思っています。支援してもらう・あげるといったgive&takeのようなことではなく、本当にみなさんがフラットに交流できる場であってほしいと思っています。また、私自身も楽しく、気負わず、細々と長く続けたいと思っています。


ー摂食障害は治る病気でしょうか?摂食障害が治る/回復するという状態はどのような状態だと思いますか?

私自身も、まだ完全に治ったとは思っていなくて、回復段階でいうと8か9くらいかなと思います。でも、今は摂食障害は治ると信じてます。回復とは、やはり「食事や体型に振り回されずに、自分のやりたことが優先できて、自分らしい人生を歩むことができている状態」かなと思います。


ー最後に、現在回復のスタートラインに立たれている方々にメッセージをお願いします。

回復のスタートラインや渦中にいるときは、なかなか見通しが持てなかったり、出口が本当にあるのか?と不安になったりすると思います。でも、私自身を振り返ってみれば出口はあったし、皆さんにも必ずどこかに出口があると思います。途中で辛いこととか投げ出したくなることもあると思いますが、「あのトンネルの先に出口がある」と信じて歩んでいってほしいと思います。

※インタビュー実施日:2025年4月5日


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